日本人シェフが自家薬籠中の物にした西洋のお菓子7選<下>
(CNN) 日本のシェフは世界中で愛されるおなじみの「西洋」菓子を取り入れ、それを新たな高みに引き上げた。以下では上編に続き、日本人シェフが自家薬籠(やくろう)中の物としたケーキやデザートの一部を紹介する。
4.モンブラン
チェーン店「生搾りモンブラン」は、搾りたての栗のバーミセリ(細い麺)をトッピングして提供/IMM Food Services Inc
モンブランは世界中のベーカリーに頻繁に登場するかもしれないが、栗のバーミセリ(細い麺)を乗せたこのデザートに日本ほど愛着を示す国は少ない。
様々なスタイルのモンブランに特化した専門店まであり、毎朝午前9時半に限定券を配布する6座席の和栗モンブラン専門店から、最大限の新鮮さを確保するため自前の栗絞り機を持つチェーン店「生搾りモンブラン」まで多彩だ。
しかし、中でも最も特別なお店は東京の自由が丘にある「MONT-BLANC」だろう。
創業者の男性は1933年、フランスにある実際のモンブラン山で登山を経験した後、山の位置するシャモニーの市長と市内にある「ホテルモンブラン」の当時の社長から許可を得て、東京に構える菓子店に「モンブラン」の名前を付けた。
5.クリームパフ(シュークリーム)
「ビアードパパ」は、日本最大のシュークリーム・チェーン店の一つ/Beard Papa's
帝国ホテル東京のペストリーシェフ、赤羽目健悟氏は、数々の素晴らしいデザートが進化を遂げた中でも、断然のお気に入りは昔ながらのクリームパフだと話す。
そう考えるのは赤羽目氏だけではない。
日本のセブン―イレブンが発表した最近の調査結果では、一番の売れ筋スイーツは同社の「シュー・ア・ラ・クレーム」、日本で「シュークリーム」と呼ばれるお菓子だった。(同じランキングでモンブランは3位だった)
1850年代、横浜は外国人居留地に指定され、そこで生活や仕事をする外国人に開かれた場所となっていた。フランス人のパン屋が日本に最初のクリームパフを紹介したのは横浜でのことだ。
このお菓子は瞬く間にヒット作になり、日本中から菓子職人が技術を学ぶため横浜を訪れた。
6.チーズケーキ
最初の日本版チーズケーキは、1969年に菓子店のモロゾフが作ったとされる/Morozoff Limited
誰が日本に最初のチーズケーキを持ち込んだのかははっきりしないが、史上初の日本風チーズケーキをつくった店がモロゾフなのは多くの人が認めるところだ。
モロゾフはロシア人菓子職人によって1931年に神戸で設立され、最初はチョコレート店として出発した。しかし69年、当時の社長の葛野友太郎氏がベルリンでチーズケーキを食べたのをきっかけに、モロゾフは日本版の開発に乗り出した。
日本のチーズケーキはしばしば軽いふわふわした食感が称賛され、ぎっしりと中身の詰まった生地を使うタイプとは明らかな違いがある。多くの人になじみがあるのは後者だ。
そんな日本のチーズケーキの中でも一番ふわふわなのが、踊るチーズケーキとも言われるスフレチーズケーキだ。あまりに軽くふわっとしているため、動かすと細かく揺れるほどだ。
7.スフレパンケーキ
パンケーキ専門店「フリッパーズ」のスフレパンケーキは、ふわふわの食感と贅沢なトッピングに特徴がある/Flipper's
スフレチーズケーキのアイデアと同様、日本のスフレパンケーキはメレンゲを材料とした結果、極めて軽やかな食感になっている。
おいしく写真映えのするこれらのお菓子の起源は不明だが、ここ5~10年で流行に火が付いたとの見方には多くの人が同意するだろう。
スフレパンケーキは今や世界中のインスタグラムフィードに登場する。ふわふわの揺れるパンケーキに色鮮やかな果物やクリームが添えられ、世界各地の専門店で入手できる。
スフレパンケーキ専門店の一例としては、日本で2016年に創業されたフリッパーズが挙げられる。同社はその後ニューヨークに進出し、19年にソーホー店がオープン。シンガポールでも20年に初の店舗がオープンしている。