3年間クルーズ船で暮らすことを決めた米国人女性、その理由とは?
レーンさんは肺に疾患があり、新型コロナウイルスやその他の呼吸器系ウイルスの影響を受けやすいという。パンデミック(世界的大流行)が起きてからは、休暇はおろか、自宅からもほとんど出なくなった。
だがレーンさんは、乗船に不安を感じるどころか、むしろ陸上よりも船上のほうが快適に過ごせるのではないかと考えている。クルーズ船のコロナ対策や船内の医療施設に信頼を寄せており、自分でも予防策を講じる計画だ。
「船内や他の人がいる場所ではN95マスク、サージカルマスク、ゴーグルを着用します」
またレーンさんは、南極など、冷たい空気が肺を悪化させる可能性のある場所では下船しない予定だ。だが、先祖の出身地とされるスコットランドやアイルランドなど、これまで一度も訪れたことのない場所への寄港を含め、今回の旅程には大きな期待を寄せている。
船上での生活
MVジェミニ号は、3年間の航海で計375の港に寄港し、そのうちオーバーナイトステイ(寄港地で1泊以上停泊すること)をする寄港地は208港。インド、中国、モルディブ、オーストラリアなど、あらゆる場所に停泊し、中には数泊するところもある。
レーンさんは、世界中を旅できることや、寄港地を満喫できる時間がたっぷりあることをうれしく思っているが、他の乗客よりも船上で過ごす時間は長くなると考えている。
「私にとっては海が重要なのです。海に浮かぶ船そのものが魅力なのです」
レーンさんは、自分の体験をブログに書くつもりだ。「毎日何かを書くのが目標」だという。ブログではペンネームを使用し、旅を堪能しながら、故郷にいる愛する人たちや会ったことのない人たちとも自身の冒険を分かち合いたいという。
またレーンさんは、自分のブログが、他の人たちにとってリスクを冒してでも快適な生活から抜け出せるきっかけになればと願っている。中年期に旅を先延ばしにして過ごした年月を、レーンさんは今でも後悔しているという。
「人生ですべてがうまくいっている時、お金がある時、予定が合う時、他の人たちが行きたがる時、私はそんな完璧な出発のタイミングをいつも待っていたのだと思います」
「家に閉じこもってはいけない」とレーンさんは訴える。「家は心が休まる所かもしれない、家ほどくつろげる場所はないかもしれない。家でくつろいだ後は、船に乗り、飛行機に乗り、車に乗り、どこかに出かけましょう」