長引くインフレはビヨンセのせい? スウェーデン公演に海外からファン殺到
ロンドン(CNN) スウェーデンの消費者物価が下がらないのは米歌手ビヨンセのせいだったとする説を、大手銀行のエコノミストが打ち出した。
隣国デンマーク最大手ダンスケ銀行のチーフエコノミスト、ミケール・グラン氏は14日、ビヨンセの世界ツアー「ルネッサンス」が先月、スウェーデンの首都ストックホルムで始まったことで、何万人ものファンが同地に詰めかけてホテルやレストランの価格が急騰したと指摘した。
こうしたサービス業界の5月の値上がりの3分の2は、「ビーハイブ」と呼ばれるビヨンセファンによる需要の高まりが背景になっているとグラン氏は分析する。
翻って、インフレ率の低下は予想よりも緩やかになった。公式統計によると、消費者物価の年間上昇率は4月の10.5%から5月には9.7%へと低下した。しかしロイター通信がまとめたエコノミスト予測では、9.4%に低下すると見込んでいた。
グラン氏は「これは普通ではない」「スターがやって来るのはいつものことだが、こんな影響が出ることはめったにない」と語る。
スウェーデンで行われたコンサートは2回とも売り切れだった。グラン氏によると、チケットがほかの国に比べて安く入手でき、スウェーデンの通貨が「非常に弱い」ために購買力が押し上げられて、国外から大勢のファンが詰めかけた。
ストックホルムのホテルや宿泊施設の数には限りがあり、首都から50キロ離れたホテルでさえも宿泊料を値上げしたという。
ただしビヨンセ効果は長続きしない見通しで、ホテル代は6月には値下がりが見込まれる。
スウェーデンのヨーテボリでは今月、ブルース・スプリングスティーンが3回の公演を予定しており、それが価格上昇圧力になる可能性もある。しかしその可能性は低いとグラン氏は述べ、「ビヨンセはやや特別だった」と言い添えた。