3年間クルーズ船で暮らすことを決めた米国人女性、その理由とは?
自然光の入らない部屋で3年間生活することに抵抗はないと、レーンさんは主張する。客室を寝室と捉え、就寝以外の時間を客室内で過ごすつもりはないという。日中は船内を歩き回りながら海を眺めるなどしてリラックスした時間を過ごすほか、小旅行を楽しむ計画だ。
レーンさんは出航前に「所持品の95%」を売却予定だが、家族の写真を数枚持参し、客室を自分仕様にアレンジするつもりだ。今は成人した孫たちがまだ小さかった頃、レーンさんが彼らをホエールウォッチングに連れて行った時の写真がお気に入りだという。
「その写真をラミネート加工したものを、マグネットで客室のドアに貼るつもりですが、それには理由が二つあります」とレーンさん。「一つは、客室に戻るたびに孫たちの顏を見られるのは楽しいから。もう一つは、孫たちがほほ笑み返してくれるので、どのドアが自分の客室のものなのかが一目瞭然だからです」
クルーズに参加することは、娘や孫たちにはまだ伝えていない。「やめるよう説得されるのが嫌だから」という。レーンさんは、娘や孫たちが彼女の決断を応援してくれると信じている。それでも3年という歳月は長く、世界を一周している間、陸にいる大切な人たちとはほとんど会えなくなる可能性がある。
だがレーンさんは、遠く離れた家族や友人らとビデオ通話をすることや、船上で新たな人脈を築くことを楽しみにしている。一人でクルーズに参加する人も多いと聞いているため、交流も盛んになるはずだという。実際、クルーズ会社はすでに多くのゲストをアプリでつないでおり、「楽しい時間はすでに始まっている」とレーンさんは言う。
「お互いに助け合ったり、アイデアを出し合ったり、質問に答えたり、計画を立てたりして、私たちはすでにお互いのことを知っています。すでに楽しいのです」
レーンさん長い間、幸せな独身生活を送っているが、船内で誰かとロマンチックな関係になり得るという考えについては否定している。
「そんなことは起こりません。毛頭考えていないうえ、興味もない。私は友人を作りたいのです」
3年間のクルーズに参加することを決めたとき、レーンさんは自分が独身であることをありがたく思ったという。参加したいけれど、パートナーや配偶者が興味を示さないから実現できない、という人たちとレーンさんは話したことがあった。
「私にはそれがないのです。家にいようと思えばいられる。どこかに出かけようと思えば出かけられる。私を唯一阻むものは健康ですが、それさえコントロールできれば大丈夫です」