深刻な水不足、観光産業が窮地に イタリア・シチリア島
人為的な気候変動により、欧州は他のどの大陸よりも急速に温暖化が進んでおり、シチリアはまさに、この温暖化の真っただ中にある。2023年8月、シチリアの古都シラクサで48.8度を記録し、欧州の最高気温の記録を更新した。
イタリアの他の地域も干ばつに見舞われているが、イタリア国立環境保護研究所(ISPRA)によると、「極度」の干ばつに見舞われているのはシチリアだけだという。
シチリア島全体の昨冬の降雨量は通常の4分の1にも満たず、地下帯水層の約2割が「水不足」の状態にあるとISPRAは指摘する。シチリア州政府は2月、アグリジェントと他の四つの県で「危機状態および水の緊急事態」を宣言した。この宣言は、少なくとも年末まで継続される。
アグリジェントでレストランを経営するマルコ・マッカローネ氏は、シチリア島は自力で戦わざるを得ない状況に置かれていると指摘する。
マッカローネ氏は、「サマーシーズンが間近に迫り、我々は不安を募らせている。我々が費用を負担している給水車の代替案を誰も提示してくれない」と述べ、さらに「(水不足により)我々の唯一の資源である観光業が破壊される恐れがある」と付け加えた。
アグリジェントの歴史的中心部で20年間暮らしているマッカローネ氏は、蛇口をひねってもほとんど水が出ず、30分で1本のポットを満たすこともできないと不満を漏らす。
シチリアのホテル連盟のニコラ・ファルッジョ会長によると、ホテルは収容能力に応じて一定量の水の備蓄が義務付けられているため、本土からも水を購入せざるを得ないという。
しかし、家族経営のホテルやB&Bといった小規模な宿泊施設は、要求を満たせるだけの水を備蓄する手段がないことが多い。また、それらの施設が居住用ビルの中にある場合、分譲マンションに適用される厳格な水使用の制限の対象となるため、宿泊客に水を保証することができない。