ナポリ近郊のスラムで歩道が崩落、2人死亡
ローマ(CNN) イタリア南部ナポリ近郊のスラム化したアパートで歩道が崩落し、2人が死亡、少なくとも13人が負傷した。
消防当局によると、29歳の男性と35歳の女性が死亡した。
現場はナポリ近郊スカンピアにあるアパート「レ・べーレ」。犯罪組織の拠点として知られ、子ども300人を含む不法占拠者800人が住んでいたが、全員が当局の設営したテントに避難した。
レ・べーレは、イタリアの作家ロベルト・サヴィアーノ氏がナポリを拠点とする犯罪組織「カモッラ」の実態を描いたノンフィクション小説「死都ゴモラ」や、その映画化作品「ゴモラ」の舞台になった。多くの部屋にフェンスや防弾ガラスが設置され、麻薬取引が横行している。
もともと1970~80年代に建設され、べーレ(帆)のような形の4棟が高架歩道でつながっていた。しかし2020年に当局が取り壊しを命じ、3棟がすでに解体されている。
残った1棟の歩道がどうして崩落したのかは不明だが、この建物も使用が禁止され、水道や電気、ガスは違法に引き込まれていた。住人は80年の大地震で家を失った被災者で、その多くは政府が計画した住宅の建設を待つ間ここで暮らしてきたが、計画は実現しなかった。
地元当局は取り壊し命令を受け、住人らの移転先を供給する再開発プロジェクトに着手したが、このプロジェクトもまだ完了していない。
ナポリのマンフレディ市長は遺族らに弔意を表し、住人らへの支援を表明した。メローニ首相もSNSに哀悼の言葉を投稿し、救急隊員らの尽力に感謝すると述べた。