バイデン氏、選挙人の獲得予想で過半数超え CNN予測で初
(CNN) 11月の米大統領選で各候補者が獲得する選挙人数のCNN予測によると、バイデン氏が優勢またはバイデン氏寄りの州の選挙人の合計が初めて過半数の270人を超えた。
バイデン氏優勢の州は203人、同氏寄りの州は87人で、合計で290人となった。選挙人の総数は538人。
一方、共和党候補のトランプ大統領は、トランプ氏優勢の州で125人、同氏寄りの州で38人と、合計で163人にとどまっている。過半数の獲得にはあと107人が必要となる。
トランプ氏は新型コロナウイルスに感染し選挙運動に参加できず、同陣営は選挙戦開始以来、最悪ともいえる状況に置かれている。先週の大統領候補討論会は形勢を挽回(ばんかい)するチャンスだったが、トランプ氏はたびたび他者の発言を遮るなど批判を浴びるパフォーマンスで終わった。
さらにトランプ氏自身が新型コロナウイルス感染症にかかった後の姿勢が状況の悪化に拍車をかけた。トランプ氏は国民にコロナを心配するなと呼び掛け、ホワイトハウスのバルコニーでマスクを取った姿をあえて見せることでリーダシップの欠如をさらす形となった。科学者や専門家からは、こうした行為はマスクの着用推奨の動きに反するものだとの批判の声が上がった。
選挙戦最終盤のテレビCMへの投下資金でも、トランプ陣営はバイデン陣営に大きく後れを取っている。この時期は各陣営が勝利に向け資金を最大限使うタイミングとなる。
バイデン氏は前回選挙でトランプ氏勝利に貢献した中西部の州で、民主党への支持を積み上げている様子だ。
勝利の鍵を握る重要な激戦州ペンシルベニア州では、前回の予測以降、CNNの基準を満たす8つの世論調査が行われた。バイデン氏はいずれの調査でも5ポイント以上リードし、支持率が49%を割ることはなかった。これらの結果を受け、CNNは同州を民主党寄りに変更した。
ペンシルベニア州に投下した資金はバイデン陣営が4800万ドル、トランプ陣営が2100万ドル。これに外部の団体の金額も入れると、同州のテレビCMには合計1億3500万ドルもの資金が投下された。これは全米でフロリダ州に次ぐ水準となる。
バイデン氏は女性や無党派層、大卒者、非白人有権者からの支持を強化するほか、トランプ氏が前回選挙で決定的に有利だった男性や白人、高齢者からの支持でもトランプ氏と競っている。
こうした状況から、前回トランプ氏が辛勝したペンシルベニアやミシガン、ウィスコンシンの各州が民主党寄りに評価が変わった。さらに、前回トランプ氏が10ポイント近い差で勝利したアイオワ州もバイデン氏にも手の届く範囲となり、共和党寄りから接戦州となった。
広告の分析会社CMAGによると、トランプ陣営は今週、アイオワ州で80万ドルの広告予算を削減し、3週連続でテレビ広告を打っていない。一方、バイデン陣営は56万5000ドルを投下した。
現在から投票日までの同州での予算は両陣営とも200万ドル以上を確保。トランプ氏を支援する外部団体も別途200万ドルの予算がある。
これまでと同様、CNNの予測は世論調査の結果に基づくほか、州や全米レベルでの選挙運動関係者や選挙で選ばれた公職者、両陣営の顧問からの情報も参考にする。世論調査には公的なもののほか、各陣営が戦略的な観点から数千万ドル単位の費用をかけ、オンラインや面会方式で多くの時間をかけて行う私的な調査もある。
接戦州と予想されるのはフロリダ、ジョージア、アイオワ、ノースカロライナ、オハイオの5州とメーン州第2選挙区で、選挙人の合計は85人。
トランプ氏が勝利するにはこれらの州を全て制した上で、バイデン氏寄りの州から22人以上を取り戻す必要がある。