世論調査でリード許したトランプ氏、それよりも悪い事態とは
(CNN) 米大統領選まで1カ月を切るなか、共和党のトランプ大統領はCNNの世論調査で民主党のバイデン前副大統領に対して支持率でこれまでで最大規模の16ポイントのリードを許している。トランプ氏や支持者にとって悪い知らせだが、これは今回の世論調査でわかった最悪の事態ではなかった。
今回の世論調査でわかったのは投票する可能性の高い人のうち90%がすでに大統領選でどちらの候補に投票するのかを決めているということだ。投票する可能性の高い人のうち8%が考えを変えるかもしれないとしており、1%はまだどちらの候補が好ましいかわからないとしている。
今回の数字で明らかになったのは、説得可能な有権者が多くは残されていないということだ。これは理にかなっているといえる。トランプ氏は米国史上で最も大きく意見の分かれる大統領であり、基本的には、熱心でない党員や無党派層を自認する人は共和党陣営か民主党陣営に分かれてしまう。ギャラップの調査によれば、トランプ氏の仕事を評価する人の割合は共和党員で89%だが、民主党員では7%と82ポイントの開きがある。
トランプ氏にとって問題なのは、バイデン氏に対して全米世論調査で2桁のリードを許しているほか、激戦州でも競っているか後れを取っているという状況だけではない。どちらに投票するかまだ決断していない人や意見を変える可能性があると認識している人が多くないということだ。
数字について改めて考えてみよう。投票する可能性の高い人のうち、現在から投票を行うまでの間に考えを変えるかもしれないと答えた人は10人に1人にも満たない。「かもしれない」は、「必ずそうする」を意味しない。また、説得可能な有権者である8%のうち全員が現在バイデン氏に投票しようとしているわけではない。現在トランプ氏に投票しようと考える人の中で考えを変える可能性のある人も多くいる。実際のところ、CNNの調査によれば、トランプ氏の支持者のうち考えを変える可能性があると答えた人の割合は10%で、バイデン氏の支持者では同8%だった。
トランプ氏が勝利するためには、バイデン氏へ投票する確実性を有権者から引きはがして、さらに自分自身に投票するよう説得する必要がありそうだ。トランプ氏は4年前、ほとんど不可能なことでも実現可能だと証明した。しかし、2020年は2016年ではない。態度を決めていない有権者や説得が可能な有権者が少ないことはトランプ氏の巻き返しにとって大きな障害といえそうだ。