トランプ氏周囲、「マスク氏の存在にうんざり」
ニューヨーク(CNN) 米実業家イーロン・マスク氏が政府の仕事に対する姿勢を変えるには、3カ月で1000億ドル(約15兆円)を失うので十分だった。
過去24時間はマスク氏にとって屈辱の連続だった。ウィスコンシン州最高裁判所の判事を決める選挙で同氏が2000万ドル規模の支援を行っていた保守派候補が敗北。その数時間後には、電気自動車(EV)大手テスラが創業以来最大の販売台数減を報告した。同社の販売台数が1~3月期で13%減少した一方で、最大の競合である中国大手BYDの売り上げは60%増だった。その後、政治専門サイト「ポリティコ」はトランプ氏に近い関係者の発言をもとに、マスク氏は政権に長居しすぎていると報じた。
ホワイトハウスは2日、ポリティコの報道を「ごみ」と非難し、マスク氏はSNSの投稿で「フェイクニュース」と一蹴。しかし政権は、マスク氏が「特別政府職員」としての130日間の任期が終了する5月下旬か6月にトランプ氏の刺客としての任期を終える予定であることを確認した。これは6%下落したテスラ株を反発させるのに十分だった。投資家はマスク氏がチーズハットをかぶる悪ふざけをやめ、急速に縮小している自社の市場シェアの回復に注力すると楽観視していることを示している。
要するに、有権者や顧客、投資家、共和党幹部は、マスク氏のショーは迷走しているとみている。
テスラ株の暴落によりマスク氏は1月以降、純資産の4分の1以上を失った。
マスク氏はテスラの顔であり、最大の個人株主でもあるため、一方が苦しめば、もう一方も同じように苦しむ。同氏の極右との結びつきは、かつてテスラの基盤であった同社のブランドを失わせた。テスラは沿岸部出身で環境意識の高い左派によって支えられていたのだ。
マスク氏がどのようにしてこれらの顧客を共和党支持者で置き換えるつもりなのかは決して明らかではなかった。共和党支持者らはEVの採用に長い間抵抗を示してきている。これまでのところ、止血するためのさまざまな試みは、事態を悪化させただけだった。
ホワイトハウス南庭でライブ配信されたトランプ氏とのテスラの宣伝からは、必死さがにじみ出ていた。ラトニック商務長官による一般国民へのテスラ株購入の呼び掛けも効果は薄かった。そして、連邦捜査局(FBI)がテスラに対する破壊行為を国内テロとして起訴すると脅したことは、ブランドを取り巻く失望を強めただけだった。
しかし、究極の非難は有権者から来た。マスク氏は、事実上無限の資金を投じてウィスコンシン州の選挙に影響を与えようとし、同州グリーンベイでの集会に巨大なチーズハットをかぶって現れ、100万ドルの小切手2枚を有権者に手渡すという離れ業を披露したが、この行為は直ちに法的に争われることになった。
マスク氏の努力は裏目に出て、同州最高裁は4対3でリベラル派の多数を維持した。
要するに、お金で多くのものを手に入れることはできるが、すべてを手に入れられるわけではないということだ。そしてテスラの販売が下降し続ける中、マスク氏は、財力を振りかざしてメッセージを伝えることができるのは自分だけではないということを厳しく思い知らされている。
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本稿はCNNのアリソン・モロー記者による分析記事です。