米、中国マフィアのボスを制裁対象に指定 腐敗対策の一環
香港(CNN) 米政府は11日までに、三合会系組織「14K」を率いる著名なマフィア、尹国駒氏を制裁対象に指定した。尹氏は「歯欠け」の異名で知られる。
米財務省は14Kを「世界最大規模の中国系組織犯罪集団」と形容。麻薬密輸や違法賭博、恐喝、人身売買など、さまざまな犯罪行為を行っていると指摘した。
今回の制裁により、尹氏が米国内に保有する資産はすべて凍結され、米国人は同氏と取引できなくなる。
尹氏はポルトガルの植民地だったマカオに生まれ、三合会で頭角を現すと、マカオで最も強力な犯罪集団トップのひとりになった。敵対するマフィアにたびたび抗争を仕掛け、爆弾の使用や銃撃、刃物による切りつけは日常茶飯事だった。マカオの中国返還を目前に控えた1999年11月に収監されている。
2012年の出所後は合法的な実業家に転身を図り、カンボジアやパラオで事業の支援に当たっていたと報じられている。財務省によると、尹氏は中国共産党の諮問機関「中国人民政治協商会議(CPPCC)」のメンバー入りも果たした。
2018年には、カンボジアに「世界洪門歴史文化協会」の本拠を設立。「天地会」とも呼ばれる洪門は17世紀半ばに端を発する組織で、世界各地に拠点を持つ。
香港とマカオでは洪門は三合会の活動と密接な関係を持っており、米国の制裁文書によると、14Kは「自らを合法組織に見せかけようとして尹氏の世界洪門歴史文化協会を利用している」とされる。
尹氏に対する制裁は国際腐敗防止デーに合わせた幅広い腐敗対策の一環で、米国は9日、リベリアの議員1人とキルギス人1人も制裁対象に指定した。