インフルエンザ大流行、専門家が危惧 次期シーズンは「史上最悪」の見方も
「マスクを着けず、十分なソーシャル・ディスタンシングを行わない人が増えれば、季節ごとに流行する一般的な呼吸器系感染症は確実に増える」。ノースカロライナ大学公衆衛生校で感染症の拡散について研究するアリソン・アイエロ氏はCNNの取材にそう語った。
同氏によると、ノースカロライナ州では既に呼吸器系の疾患が増えているといい、新学期が始まる秋には特に増加が予想される。
インフルエンザだけでなく、RSウイルス、アデノウイルス、一般的な風邪の症状を引き起こすコロナウイルス株、ライノウイルスなど、呼吸器系のウイルスは多岐にわたる。
「新型コロナウイルスのために講じた感染防止策がなくなり、子どもたちが学校に戻り、再び旅行に出かけ、特に海外旅行を始めるようになれば、あらゆる種類の呼吸器系ウイルスが感染する機会は大幅に増える」。米疾病対策センター(CDC)のインフルエンザ調査チームを率いるリネット・ブラマー氏はそう語り、「間違いなく、この1年の間低調だったインフルエンザなどあらゆる呼吸器系のウイルスが戻ってくる」と予想した。
ただし「インフルエンザは常に予測がつかない。今現在はこれまで以上にそう言える」とも付け加えている。
2021~22年のインフルエンザシーズン深刻化が予想される理由はもうひとつある。十分な裏付けはないものの、人体の免疫反応はインフルエンザのようなウイルスに毎年繰り返しさらされることで自然に高まるという説がある。たとえ症状は出なくても、ウイルスにさらされることによって十分に、免疫をはたらかせ続けることができる。
だが「さらされない期間が長くなるほど、発症する可能性や重症化する可能性は高まる」とゴードン氏は言う。「インフルエンザにさらされない期間が長くなるほど、症状が重くなることが分かっている。症状が重くなれば重症者の増加につながる。それは間違いない」
同じことは、RSウイルスや新型コロナ以外のコロナウイルスなどの感染症にも当てはまる。「私は全般的に、その全てについて憂慮している。その全てが重症な疾患を引き起こし、肺炎を引き起こすこともある」とゴードン氏は話す。
アイエロ氏によると、今年秋のインフルエンザシーズンは、たとえそれほど深刻な事態にならなかったとしても、実際以上に重く感じられる可能性もある。何よりも多くの子どもたちは、1回のシーズンで2年分のあらゆる種類のウイルスにさらされることになる。「しばらく病気にかからなかった場合、実際以上に重い症状を経験しているように感じるかもしれない」
ただ、インフルエンザの動向は予測不可能で、「どうなるかは分からない」とブラマー氏。同氏は何十年にもわたってインフルエンザを見てきた経験から、どの年も特異だったと述べ、「どうなるか分かっていると考えるたびに、全く違うことが起きる」と指摘した。