バイデン氏、台湾防衛は「責務」 米政府、釈明迫られる
ボルティモア(CNN) バイデン米大統領は23日までに、台湾が中国に攻撃された場合、米国には台湾を防衛する責務があると語った。
CNNが米ボルティモアで21日に主催した住民との対話集会で述べた。台湾防衛の必要性について2度問われ、いずれも責務があると答えた。
米国はこれまで、中国が台湾へ攻撃を仕掛けた際の対応について、明確な態度を打ち出さない「戦略的なあいまいさ」の外交方針を堅持。バイデン氏の今回の言動はこれを否定する政策転換ともなりかねず、ホワイトハウス当局者は対話集会の終了後、発言の真意を説明する対応に追われた。
「米国の政策の変更については一切発表しておらず、政策に変更はない」と主張。台湾との関係は米国の台湾関係法に基づいており、同法下での誓約は支持するとした。台湾の自衛は後押しし続けるとし、現状の一方的な変化に反対し続けるとも述べた。
バイデン氏は過去にも、台湾問題に関して今回と似た発言を行い、ホワイトハウスが釈明を迫られたことがある。
米国は「一つの中国」政策の下で、中国本土と台湾を不可分とする中国の立場に異を唱えない姿勢を示している。ただ、中国軍は最近、台湾の防空識別圏に多数の戦闘機などを相次いで飛来させるなど台湾情勢は緊迫感を増していた。米国は台湾関係法に依拠して防御兵器は供与している。
一方、中国外務省の報道官はバイデン氏の今回の発言に即時に反応。定例会見で米国は台湾独立を狙う分離主義勢力にシグナルを一切送ってはいけないと警告。米国は一つの中国政策と中米間の三つの共同コミュニケを厳密に順守すべきと要求した。
半面、台湾外交部(外務省)はバイデン氏の発言に謝意を表明。「台湾の民主主義、安全保障や住民の幸福を十分守るための自衛能力の強化を図り続ける」との声明を発表した。
バイデン大統領は対話集会で、中国との意図的な軍事衝突は心配していないが、非意図的な危機の拡大には懸念があるとも指摘。中国、ロシアなどの国名を出し、深刻な過失を犯す立場に追い込まれるような活動にこれらの国が加担することについては危惧を抱いているとした。