激しい虐待受けていた少年、飲食店員の機転で救出 義父に有罪評決 米フロリダ州
(CNN) 米フロリダ州オーランドで、義理の息子に対する児童虐待の罪に問われた男が有罪評決を言い渡された。虐待が発覚したのは、飲食店の従業員が少年にこっそり「助けが必要?」と書いたメモを見せたことがきっかけだった。
同州オレンジ郡検察の6日の発表によると、評決を言い渡されたのはティモシー・リー・ウィルソン被告(36)。13歳未満の子どもに対する不法監禁や児童虐待の罪で有罪と認定された。
調べによると、被害者の少年は家族から引き離され、保管庫として使われていたホテルの1室に監禁されていた。飲食を与えられないことも多く、軍隊式の訓練をさせられるなどの虐待を受けていたとされる。当局は少年に対して使われていた複数の武器を押収した。
11歳の少年は2021年1月1日、家族とともに、オーランド市内にあるレストランにいた。従業員のフラビアーニ・カルバーロさんは、少年が家族と隔てられて座り、食事も飲料も与えられず、体にあざや傷があることに気づいた。
そこでカルバーロさんは両親の後ろに立ち、大丈夫かどうか尋ねるメモを少年に見せた。少年が否定のそぶりを見せると、今度は「助けが必要?」と書いた2番目のメモを見せた。
これに少年が首を縦に振ったことから、カルバーロさんは上司に連絡し、警察に通報した。
到着した警官が少年から事情を聴き、ウィルソン被告はその場で逮捕された。数日後、母親のクリステン・スワン被告も拘束され、虐待やネグレクト(育児放棄)、児童虐待の通報を怠った罪で起訴されたが、公判では無罪を主張。判決は8月19日に言い渡される。
スワン、ウィルソンの両被告が逮捕された際に、もう1人の4歳の子どもも自宅から引き離されたが、その後の調べで、この子どもは虐待されていなかったことが分かった。11歳の少年はスワン容疑者の子どもで、4歳児はスワン、ウィルソン両被告の子どもだった。
カルバーロさんの通報後、少年は病院で診察を受け、この年の子どもの体重に約9キロも満たないことが判明。全身には無数のあざがあった。
検察によると、その後の捜査で、少年は「拷問され」「悪意のある罰」を受けていたことが分かった。ドアから逆さまにつるされたり、台車に手錠でつながれていたこともあったという。
「もしもカルバーロさんが自分の見たことについて何も言わなければ、この少年は恐らく、もう長くはなかっただろう」と捜査員は話した。
カルバーロさんは、「私は神が彼を助けるための道具として使われた」とCNN提携局WESHに語り、「私たちは助けを必要としている人に注意を払い、その状況を変えるために踏み出さなければならない」と話している。