転んだだけでやけど、アスファルトの温度82度にも 酷暑の米アリゾナ州
(CNN) 猛烈な暑さが続く米アリゾナ州マリコパ郡で、重いやけどを負って救急搬送される患者が急増している。ここ3~4週間は記録的な熱波に見舞われ、道路で転んだだけでやけどを負う人が続出した。
「夏は繁忙期なので予想はしていたが、これは本当に異常だ。患者の多さも、重傷者の多さも。けがの程度ははるかに重い」。同地の病院で熱傷の治療にあたるケビン・フォスター医師はそう語る。「患者の数も、重傷者の数も増えている。理由は説明がつかない」
この病院では熱傷病棟の45床が満床になり、3分の1は地面に転んでやけどを負った患者が占めている。集中治療室(ICU)にもやけどの患者が入院しており、およそ半分は転んでやけどした患者だという。
アリゾナ州では平年を超す暑さが続いており、専門家によると、地面に皮膚が触れれば危険な状態にある。特にアスファルトは太陽の光を吸収して熱せられ、日没後も熱がこもった状態が続く。
20日の気温は約48度を観測し、フェニックスの気温は22日まで6日連続で46度を上回った。23日には最高気温が約45.5度まで下がり、猛暑はやや和らいだ。
フォスター医師によると、アリゾナ州では夏の晴れて暑い日や夏の午後は、アスファルトやコンクリートの温度が82度になることもあり、ほんの一瞬触れただけでも重いやけどを負いかねない。舗装道路に10~20分間接触すれば「皮膚が完全に破壊され」、皮膚の深部まで達する3度のやけどを負うこともある。
そうした患者は住宅火災に遭った人のようなやけどを負っているという。
米国では24日も各地で3500万人あまりを対象とする熱波警報が出された。米海洋大気局(NOAA)によると、熱波の記録を更新したり記録に並んだりした回数は、過去30日で5000回を超えている。
フェニックスの病院の緊急治療室に勤務するフランク・ロベッチーノ医師も、今回の熱波ではやけどの患者が多いと話す。
ロベッチーノ医師によると、車いすから転落した高齢女性は、たちまち脚全体にやけどを負った。ホームレスの患者も多く、舗装道路で寝たり休んだりしてやけどを負っているという。
屋外で作業していて疲労や脱水症状で意識を失って地面に倒れ、やけどを負った患者もいる。庭仕事をしていたと思われる男性は、コンクリートの上に倒れて全身にやけどを負い、体の数カ所の皮膚移植を必要とした。
転倒してやけどを負うのは基礎疾患のある高齢者や薬物使用者が多いとフォスター医師は言い、「ほんの数秒で3度の熱傷を負う」と話している。
米獣医師会のレナ・カールソン会長によると、動物も熱いコンクリートやアスファルトの上を歩けばやけどを負うことがある。それを防ぐためには猫は外へ出さず、犬は早朝または夜遅くに散歩させる必要がある。
「一日中太陽を浴びた道路やコンクリートは夜になっても熱いので、早朝がベスト」とカールソン氏は助言している。