死亡事故で服役の米海軍兵、日本から米国へ移送 米政権が働きかけ
(CNN) 日本で死亡事故を起こして有罪を言い渡され、服役中だった米海軍兵のリッジ・アルコニス受刑者が、米側に引き渡されて帰国の途に就いた。同受刑者の家族が14日に発表した。
米当局者は同日、アルコニス受刑者の身柄が米国に引き渡されたことを確認。カマラ・ハリス副大統領とジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)による直接的な働きかけを経て、身柄の引き渡しが実現したと説明した。同受刑者は、自国で残りの刑期を務めることを認めた国際協定に基づき、米国へ帰国する途上にあるという。
司法省当局者によると、アルコニス受刑者は帰国後、司法省の仮釈放委員会に出頭し、残る刑期をどう執行するかについて同委員会が判断する。この手続きには数カ月かかる見通しで、最終的に自宅軟禁となる可能性もある。
この問題について司法省はコメントを避けた。
アルコニス受刑者は2021年5月、過失運転によって2人を死亡させ、1人を負傷させた罪に問われ、同年10月に禁錮3年を言い渡された。
アルコニス受刑者側は、家族と富士山に出かけて車で戻る途中、急性高山病にかかって運転中に意識を失ったと主張していたが、一審でこの訴えは退けられ、22年7月に上訴も棄却された。
家族側は、過失ではなく病気だったと主張して無罪を訴え、日本の習慣に従って被害者の遺族に100万ドルを超す慰謝料を払ったとも強調。日米地位協定違反があったと主張していた。
今年8月には米共和党の上院議員20人が岸田文雄首相に書簡を送り、アルコニス受刑者の国外退去を検討するよう要請した。書簡では、事件の全容が考慮されていないと主張して、米海軍の調査ではアルコニス受刑者は急性高山病で意識を失っていたとの結論に達したと述べていた。
家族側は、米政府の取り組みによって移送が実現したとして謝意を表し、「公平な司法の目によってこの事件が初めて見直されることをうれしく思う」とコメント。「司法省が直ちにリッジ(アルコニス受刑者)を釈放することによって、正義がねじ曲げられたこの状況を早急に終わらせてくれると確信する。リッジが自宅で妻と子どもたちと一緒に休暇を楽しめる日を心待ちにしている」とした。