NY州地裁の巨額支払い命令、控訴裁がトランプ氏に全額支払い命じる判断
(CNN) トランプ前米大統領が資産価値の水増しを巡る民事訴訟で米ニューヨーク州の裁判所に命じられた4億5400万ドル(約680億円)の支払いについて、州控訴裁の判事は28日、全額を工面しなくてはならないとする判断を下した。一方でトランプ氏に対し、州内の金融機関から融資を受けることを禁じていた措置は解除した。これにより同氏は、自身の資産へのアクセスを通じ金額を工面できるようになる可能性がある。
トランプ氏は同日、上訴が終わるまで上記の支払い義務を延期するようニューヨークの控訴裁に申し立てていたが、控訴裁は約20分間続いた緊急審理の後でこれを退けた。
トランプ氏の弁護団は提出した書面で、命じられた支払いは前例のない額で懲罰的だと指摘。さらに「判決は法的根拠も事実の裏付けもない、行き過ぎた命令」だと主張した。
今回の判断は、トランプ氏に資金調達のための新たな手段を与える可能性があるが、相当額の資金を提供する意志のある貸し手を見つけなくてはならない状況は変わらない。
トランプ氏の弁護士らが判事に告げたところによると、同氏が命じられた支払いをカバーするには5億5000万ドル以上を調達する必要がある。債券引受人は判決が命じる支払いの約120%を請求するほか、しばしば現金や株、債券などの売却しやすい資産を担保として要求するという。
控訴裁の判事は、トランプ氏一族が運営するトランプ・オーガニゼーションの独立監視人の職務を3年間継続するとした州裁判所の決定は変更しなかった。また独立したコンプライアンス担当ディレクターを置くことも命じた。トランプ氏はディレクターの設置の延期を求めていたが、これを退けた。