トランプ政権が解体進めるUSAID、暴動激化のコンゴから帰還した職員が語る避難時の惨状

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街を包囲した反体制派と政府軍の衝突で煙が立ち上るコンゴ首都キンシャサの様子=1月28日/Shi Yu/Xinhua/Getty Images

街を包囲した反体制派と政府軍の衝突で煙が立ち上るコンゴ首都キンシャサの様子=1月28日/Shi Yu/Xinhua/Getty Images

(CNN) 米国際開発局(USAID)の職員らが今週、派遣先のコンゴ民主共和国からの帰還を命じられてからの数日間に経験した混乱について詳述した。

複数の職員が、暴力的な抗議デモの中でコンゴ首都キンシャサを退去する際の悲惨な状況について語った。トランプ米大統領の政権は特定の外国支援プログラムを打ち切り、現地で働く職員に休暇に入るよう指示。この措置で局内では混乱が生じ、職員への指針も示されない状況となっていた。

大統領令による世界各国からのUSAID職員の帰国並びに休職措置は、トランプ政権が取り組む海外支援凍結とUSAID解体の一環。念頭にあるのは連邦機関の職員数の縮小だ。

CNNは国務省とUSAIDにコメントを求めている。

国務省は先月下旬、緊急性の低い業務に就く政府職員とその家族に対し、コンゴを離れるよう指示した。同国では首都キンシャサなど各地で暴力が激化している。

コンゴで勤務していた当局者1人はCNNの取材に答え、現地で勤務を継続する選択肢が失われたことを示唆。職員らの間に失業への不安が広がっていると明かした。

「最も重要なのは、我々が犯罪者ではないと人々が理解すること」と、この当局者は強調した。新設された政府効率化省(DOGE)を率いる実業家のイーロン・マスク氏は、USAIDを「犯罪組織」と形容。その閉鎖を巡ってかねてトランプ氏と議論していた。USAIDの職員を代表する団体は11日、USAIDの解体は違法な措置だとしてトランプ政権を提訴している。

取材に応じたある外交職員は、現地で同僚と味わった困難を振り返った。同僚の一人は自宅を焼かれ、「略奪で所持品全てを失った」という。彼らは小さな船でコンゴ共和国の首都ブラザビルへ避難。そこから飛行機でワシントンへ移動した。

訴状によればこれらの職員に対しては、外国から避難した家族向けに通常支給される手当が現時点でまだ支払われてないという。

キンシャサで起きた暴動への不安に加え、トランプ政権による無計画かつ超憲法的なUSAID閉鎖の混乱が自身と家族に激しい精神的苦痛をもたらしていると、上記の外交職員は訴えた。

妊娠中の別の外交職員は訴状の中で、米国へ帰国中の12時間、水へのアクセスが制限され食料品も受け取れなかったと述べた。避難に先駆け国務省は、帰国後スムーズに出産前ケアを受けられるよう支援すると約束したが、それも実現していないと主張した。

同職員はワシントン郊外に移動し、自腹で出産前ケアを受けた。その他宿泊費や食費、衣料品の支払いなどのため1週間で5000ドル(約77万円)近くの支出があったが、これらの補償の申請に関する明確な指示をまだ受けていないことを明らかにした。USAID閉鎖で状況が混乱する中、適切なタイミングで補償が受けられるのかどうか不安があるとも述べた。

職員を代表する団体が訴訟を起こしたのを受け、バージニア州選出の民主党下院議員、ドン・ベイヤー氏はトランプ氏とルビオ国務長官を批判。「今回の事態は紛れもないスキャンダルだ」とし、USAIDの職員らが帰還に際し経験した混乱についてはトランプ、ルビオ両氏に責任があると断じた。

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