亡命の夢が目前で破れ送還――9人の若き脱北者たちの運命は
M.J.さん夫妻は中国で暮らす脱北者の家庭と手分けして、9人を引き取った。中国当局に見つかれば送還される。片時も気を許せない潜伏生活が約2年間続いた。夫妻はその間、若者たちのために米国人家庭との養子縁組を試みたが、うまく成立しなかった。
そこで今年春、かれらを連れてラオス国境を目指すことにしたという。
旅の途中で若者たちは仲間の誕生日を祝い、遊園地を訪れ、はだしで砂浜を走った。子ども時代にできなかった多くのことを初めて経験し、かれらの胸に夢と希望が芽生えていくのが分かった。
5月10日ごろにラオス近くまでたどり着いた一行は仲介業者に案内を頼み、夜中にジャングルを通って国境を越えた。だがそこから首都ビエンチャンへ向かうバスの中で、運命が変わった。警察の抜き打ち検査が入ったのだ。パスポートなしで入国していた一行は拘束され、2週間以上にわたって取り調べを受けた。
M.J.さん夫妻は韓国大使館に繰り返し電話をかけて助けを求めた。大使館からはおとなしく待っているよう指示され、ラオス当局が手続きを進めていると説明を受けた。
そして5月27日、ラオス当局者が若者たちに韓国行きを告げた。長かった逃亡生活がようやく終わりを迎えるかと思われた。