資源も貿易協定もパンダと「交換」 中国の戦略利用
カナダとフランスがウラン輸出に関する巨額案件に署名した時期は、両国がパンダを貸与された時期と一致する。オーストラリアも06年に中国へのウラン供給で合意し、09年にパンダ2頭を受け取った。
中国では経済成長に伴って資源需要が高まっており、パンダと資源との交換は今後も増える見通しだ。パンダに対する各国の関心も尽きそうにない。
ただし中国の主要貿易相手国がすべてパンダを受け取れるわけではない。オックスフォード大学の専門家は、「中国はパンダの希少性を保ち、価値を低下させないために、貸与する国を慎重に選ぶ必要がある」と指摘する。
有利な条件を引き出す目的で戦略的にパンダを使う現象は、今に始まったことではない。
毛沢東主席の時代は、旧ソ連や北朝鮮、米国、英国の指導者にパンダが贈呈された。1972~74年に「親善大使」となったパンダは24頭に上る。
一方、パンダが外交に果たす役割が強まると同時に、パンダビジネスの存在感も高まった。