難民船転覆でまた数百人死亡、「集団虐殺」に対応呼びかけ
国際医療支援団体「国境なき医師団」の代表は19日、「地中海に集団墓地が形成されようとしている。責任は欧州の政策にある」と指摘。
「この悲劇はまだ始まったばかりだが、食い止めることは可能であり、食い止めなければならない」と述べ、欧州各国に対して直ちに大規模な捜索活動に着手するよう促した。同団体も「医療人道団体としてこれ以上待つことはできない」との立場から、独自の捜索活動に乗り出すと表明した。
フランスのオランド大統領も欧州連合(EU)に対応を呼びかけ、イタリアのレンツィ首相は臨時閣議を招集した。レンツィ首相は記者団に対し「(救助船の)不在が今回の事態を招いたわけではない。問題を根絶するためには対応を変えなければならない」と述べ、人身売買の撲滅に照準を絞る必要があると指摘、その責任は同国だけでなく全世界にあると強調した。
EUは19日に発表した声明で、対応を計画していることを明らかにした。加盟国や国際機関と連携して5月中旬にも「欧州移民戦略」を策定する準備を進めているという。
国際移住機関(IOM)は17日の時点で、今年に入って地中海で命を落とした難民は900人を超え、前年同期を大幅に上回ると発表していた。