難民船転覆でまた数百人死亡、「集団虐殺」に対応呼びかけ
(CNN) アフリカの紛争を逃れて欧州に渡ろうとした男女や子ども700人あまりを乗せた船が地中海で沈没し、数百人が犠牲になった。難民船の沈没事故が激増する事態を受けて、欧州や国際社会に対応を求める声が強まっている。
同船はリビアを出港して数日後の18日夜に救難信号を発信し、マルタやイタリアの当局が救助に向かった。ところが救助船が接近すると、乗船者が助けを求めて船の片側に殺到したため船体が傾いて転覆した。
乗船者は凍るような海に投げ出され、マルタの当局によると、無事に救助できたのは50人前後にとどまっている。イタリア沿岸警備隊などはリビア沖約110キロの海上で生存者の捜索と遺体の回収作業を続けている。
乗船者の多くはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国の出身で、何週間もかけてリビアにたどり着き、人身売買組織の手配する船に乗船していた。
マルタのムスカット首相は「犯罪集団が、人々を時には銃で脅して船に乗せている」「まさに死への旅に送り出しているも同然だ」「これはジェノサイド(集団虐殺)にほかならない」と非難、国際社会がこの現実に目をそむけ続けるわけにはいかないと訴えた。
国連人権高等弁務官のアントニオ・グテーレス氏によると、地中海では数日前にも難民船が沈没し、400人あまりが死亡する事故が起きたばかり。今回の犠牲者はこれを上回る。