トルコ軍、シリア国境で攻勢 「ISISを完全排除」と発表
3日夜の作戦には米軍も参加し、トルコ南部に配備した高機動ロケット砲システム(HIMARS)を使ってシリア側のISIS拠点を攻撃した。
ただ、トルコ政府はこの作戦について、ISISだけでなくシリアのクルド系組織「民主統一党(PYD)」の軍事部門「人民防衛隊(YPG)」を封じ込める目的もあると主張している。YPGは米国や北大西洋条約機構(NATO)の対ISIS作戦に協力し、シリア北部の要衝マンビジュの奪還などで中心的な役割を果たした勢力。しかしトルコは国内のクルド人非合法組織とつながる一派として敵視し、米国がYPGを支援することには反対の立場を示している。
複雑さを増すシリア情勢は、中国・杭州で開催中の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)でも取り上げられている。オバマ米大統領は4日、トルコのエルドアン大統領と会談し、シリア政権の平和的な移行について話し合った。だが政権移行を前提とする両国と、アサド現政権を支援するロシアの間には依然として大きな溝がある。シリア北部アレッポでは、ロシアの支援を受ける政権軍と反体制派が激しい攻防を展開している。