「慈しみどこに?」、ローマ市内に法王批判のポスター
ローマ(CNN) キリスト教カトリックの総本山、バチカン(ローマ法王庁)の「お膝元」であるローマ市内でこのほど、フランシスコ法王を批判するポスターが一斉に張り出される出来事があった。内容は法王に反発するカトリック保守派の主張にも合致するものだが、いかなる団体の署名もなかった。
4日に張り出されたポスターには厳しい表情の法王とともに、「あなたの慈しみはどこに」と問い掛ける文が載っている。法王が神父らを追放し、カトリック修道会「マルタ騎士団」の指導者を排除し、枢機卿らを無視したなどとローマ方言で非難している。
マルタ騎士団は、国家と同等の主権を一部で認められている歴史ある団体で、フランシスコ法王が主導するバチカン改革に強い抵抗を示してきた。法王は先月、対立姿勢をあらわにしていたマルタ騎士団総長に事実上の譴責(けんせき)を行い、辞任へと追い込んでいた。
法王は昨年11月、離婚、再婚した信者らの受け入れ拡大を批判した枢機卿らの書簡に対して返信を拒否し、これをきっかけに保守派との対立が深まった。2月4日には、書簡に署名した枢機卿の1人を事実上更迭する人事も発表していた。
ポスターは張り出された数時間後に一部撤去され、残りも「違法掲示物」という張り紙に覆われた。
法王は昨年のインタビューで保守派からの反発について質問を受け、「夜も眠れないほどの心配は全くしていない」と答えていた。