イエメン停戦求める決議案に米国が「ブレーキ」 国連安保理
ワシントン(CNN) 内戦が続くイエメン情勢をめぐり、限定的な停戦を求める国連安全保障理事会の決議案に対して、米国がストップをかけたことが分かった。複数の関係者がCNNに語った。
交渉の過程に詳しい1人の関係者によれば、米国は英国が提出した決議案を支持できないと明言し、「急ブレーキをかけた」という。同関係者は一方で、米国のヘイリー国連大使は数週間前から決議案に支持を表明していたと指摘した。
米政府からのコメントは得られていない。
イエメンでは、米国の支援を受けるサウジアラビア主導の有志連合が暫定政権を支持し、イランを後ろ盾とする反政府武装組織「フーシ」と戦っている。
複数の情報筋によると、米国は決議案に強く反対するサウジの意向に配慮しているとみられる。有志連合に参加するアラブ首長国連邦(UAE)やクウェートも米国と同様、サウジの反応を懸念している。
イエメン内戦をめぐってはスウェーデンで来月、和平協議が開催されることになっているが、決議案が採択されればサウジかフーシのどちらか、あるいは双方が出席を拒否する可能性もあるからだ。
CNNが入手した安保理決議案は、人道物資の8割が搬入される西部の港町ホデイダに限定して停戦を求める内容。フーシを非難する一方、サウジ批判の文言は一切含まれていない。だがサウジは国際社会の声に対して神経を極度にとがらせているとされ、停戦や人道支援の呼び掛け自体を自国への間接的な批判ととらえて反発する傾向があるという。
サウジの反体制ジャーナリストが先月、トルコのサウジ総領事館で殺害された事件を受け、米議会では与野党双方からサウジ支援を控えるべきとの声が上がっている。しかしトランプ米大統領は先週、事件をめぐって同国に強硬措置は取らないと表明。盟友サウジとの関係維持を優先させる姿勢を示した。