バチカン高位の枢機卿に禁錮6年の刑 少年への性的虐待で
(CNN) ローマ法王庁(バチカン)の高官を務めたオーストラリア出身のジョージ・ペル枢機卿(77)が少年への性的虐待で有罪となった裁判で、豪ビクトリア州の裁判所は13日、被告に禁錮6年の刑を言い渡した。
判決公判は世界に生中継された。判事は被告の「驚くほどごう慢」な罪を非難する一方、カトリック教会による過失の身代わりにしてはならないと述べた。本人は量刑を言い渡されても無表情のままだった。
被告は昨年末に有罪の評決を受け、弁護団はすでに上訴の方針を示している。控訴裁判所は6月初めにこの件を取り上げる予定だ。
判事が読み上げた判決文によると、ペル被告はメルボルン大司教を務めていた1990年代末、日曜日のミサの後に聖歌隊の少年2人がミサ用のワインを飲んでいるのを見つけ、それぞれに性的行為を強制した。
少年のうち1人が成人後、2015年になって警察に届け出たことをきっかけに捜査が始まった。この男性は判決を受けて弁護士を通し、虐待を受けてから「恥と孤独、絶望」を感じてきたと述べた。
もう1人の少年は事件の数年後、ヘロイン中毒で死亡している。父親がCNNに語ったところによると、事件から約1年後に聖歌隊から除名され、通っていた名門男子校の奨学金も失ってヘロインを打ち始めた。「何かとても恐ろしい経験」を隠している様子だったという。
ベル被告は、カトリック教会内部の性的虐待問題で有罪となった聖職者の中で最高位の人物。裁判では長年の友人関係にあるというハワード元首相が被告の「高い知性と模範的な人柄」を主張するなど、被告の人格を擁護する証言も相次ぎ、被害者側の強い反発を招いた。