追われるアフリカ出身者、感染対策で忌避感 中国・広州市
香港(CNN) 中国南部の広州市に住むアフリカ諸国出身者が新型コロナウイルス対策に絡めて家主から撤去を求められたりホテル利用を拒まれたりするなどの苦境に直面している。
背景には中国政府が海外からの入国者の新型コロナウイルス感染を警戒した措置を打ち出し、外国人を嫌う風潮の広がりがある。ソーシャルメディアでは広州市でホームレス状態にあるアフリカ出身者の苦難が広範に伝わっている。
広州市でCNNの取材に応じた24人以上のアフリカ出身者の多数は居住先を失う境遇などを告白。発症の兆候もなく感染者との接触もない中で新型コロナの無作為の検査対象になったり、自宅で14日間の隔離を強いられたりした体験も打ち明けた。
中国の新華社通信によると、習近平(シーチンピン)国家主席は先週、他国から入り込んだ感染事例への注視を当局に指示。これが海外に根差す感染のいわゆる第2波に関する地元メディアの報道を広める結果ともなった。
海外経由での感染への懸念に根拠がないわけでもない。広州市に近い香港では感染の第2波が起きた。3月に入った時点での感染者は150人で拡散は緩和したとの見方もあった。だが、現在は990人に増加し、多くは海外に原因があった。
シェルターを見つけられず、路上で寝るアフリカ出身の人々/CNN handout
ただ、中国外務省幹部は先月26日、海外から入国した感染者数の9割は中国の旅券保持者だったことも認めた。
この中で広州市にある米国領事館は11日、アフリカ系(黒人)米国人に対し同市への渡航を避けるよう警告。外国人への監視が高まっているとし、地元警察はバーやレストランにアフリカ系とみられる客の入店の拒否を命じたともした。地元の一部企業やホテルがアフリカ系米国人との商談を断ったとの事例も報告した。