EU当局、J&Jワクチンに警告の表示求める 血栓と関連の可能性
ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)の専門機関、欧州医薬品庁(EMA)は20日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンについて、まれな血栓症と関連する可能性を指摘したうえで、ワクチンに警告を表示するべきとの結論を発表した。
EMAは同ワクチンの接種後に血小板減少をともなう血栓症が起きた米国の症例8件の報告など、現時点で入手できるすべての証拠を分析したと説明。
「全症例が60歳未満で接種後3週間以内に発生し、大半が女性だった」とする一方、特定の危険因子は確認されていないと述べた。
米国ではこれまでに700万人あまりがJ&J製ワクチンの接種を受けた。まれな血栓症が報告された8人のうち、1人が死亡した。
EMAは「血小板減少をともなう血栓症の頻度は極めて低く、全体としてワクチンの予防効果によるベネフィット(利益)は副反応のリスクを上回る」との見解を示した。
J&J製ワクチンは先月11日にEMAの承認を受けた。1回の接種で済むワクチンとして期待されたが、欧州での使用は広がっていなかった。
米国では血栓症の報告を受けて今月13日に接種が中断され、J&Jは同日中に欧州への供給を延期すると発表していた。
同社はEMAの発表を踏まえ、EU諸国とノルウェー、アイスランドへの出荷を再開すると発表。説明書に血栓症の診断と治療に関する情報を追加する方針を示した。
米疾病対策センター(CDC)もこの問題について調査中で、23日には結論を発表することになっている。
EMAは同じく血栓症が報告された英アストラゼネカ製ワクチンについてもベネフィットを強調したが、一部の国は若年層への接種を見合わせるなどの対応を取っている。