ロシア掌握のヘルソン、年末までの奪還狙う ウクライナ軍
(CNN) ウクライナ軍がロシア軍が掌握する南部ヘルソン州などで踏み切った反転攻勢で、今年年末までに占領地の大半を奪還する大がかりな目標を据えていることが10日までにわかった。
複数の米政府高官とウクライナ政府当局者がCNNの取材に明らかにした。南部で先週みられた反攻の規模はロシア軍の侵攻開始以降、最も大規模な地上攻撃ともなった。
出回った映像の位置情報や衛星画像の分析では、前線から背後に離れた指揮統制の拠点、弾薬庫や燃料貯蔵庫などへの攻撃が継続的に仕掛けられ、米政府高官はロシア軍の補給路の破壊で一定の戦果を収めたと分析した。
ドニプロ川西岸に現在配置されているロシア軍への補給遮断や孤立化を狙った戦術とも述べた。
米国防総省のライダー報道官は記者団に、ヘルソン州で初めてウクライナ軍による持続的な攻撃が見られ、ある程度の前進を続けていると説明。一部の村落奪回を果たしたことも把握していると述べた。
ウクライナ政府当局者は、ヘルソン州での攻勢の目的はドニプロ川北部や西部に位置する領土の少なくとも全てを制圧することにあると説明。この地域にはヘルソン市とノバカホウカ市が含まれる。ノバカホウカには重要な水力発電所のほか、ロシアが強制併合したウクライナ・クリミア半島が必要とする給水の多くを満たす運河もある。
ウクライナ軍による南部での反攻の範囲は幅が約161キロと広範で、ロシア軍の1カ所における兵力集中を阻止する狙いもある。占領地で親ロシアの当局者を標的にした攻撃や妨害工作も増えている。
米政府当局者は年末までにヘルソン州を取り戻すとの目標は野心的すぎる色合いもあるが、反攻作戦で成果を得られ続けるのなら可能性はあるともした。