独世論、主力戦車のウクライナへの提供で賛否伯仲
ベルリン(CNN) ドイツ政府が当初の消極姿勢を転換しウクライナへ主力戦車「レオパルト2」の供与に踏み切った問題で、ドイツの公共放送ARDは2日までに、戦車譲渡を支持する独国民は46%で、反対の意見は43%だったとする世論調査結果を伝えた。
今回調査は委託を受けた「ドイチュラントトレンド」が1月19日に実施。ドイツがレオパルトのような重戦車をウクライナへ引き渡す是非を問うた。同国政府が最終的に供与を発表した先月25日前の世論を調べる調査となっていた。
ARDの調査では、東部と西部の地域別、若年世代や高齢世代では意見の相違があることが明白となっていた。西部各州では2人に1人が提供を支持。旧東ドイツだった地域では59%が同調しなかった。
旧東独地域は右派系の住民の比率が高く、右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持者も多く、第2次世界大戦後の占領統治を行った旧ソ連との関係では異なる経緯がある。それだけにドイツ政府の政治的決定への不信感はより大きいとの指摘もある。
今回の調査結果によると、高齢者世代が戦車提供を是認する傾向が目立った半面、18〜24歳層では約52%が送り込むべきではないと考えていた。
党派別に見た場合、意見の溝はさらに顕著で、左派の色合いが強い「緑の党」の支持者では61%が引き渡しを容認。ショルツ現首相を支える中道左派「社会民主党」では賛成が49%だった。
AfDでは84%が反対を表明。ドイツ政府がレオパルト2をウクライナへ差し向けるとの発表を受け、AfDのクルパラ共同代表は「無責任で危険な決定」とSNS上で非難。「ドイツが結果的に戦争へ直接巻き込まれる危険が生じる」と主張していた。