国連トップが警告、「人類は地獄への扉を開けた」 気候問題巡る首脳会議で
(CNN) 国連のグテーレス事務総長は20日、世界の指導者が集まる首脳会議で厳しい警告を発した。気候危機に関して、「人類は地獄への扉を開けた」との見解を示した。
米ニューヨークでの国連総会に合わせて開かれた、気候危機に特化した首脳会議で述べた。この中でグテーレス氏は「恐ろしい高温が、恐ろしい影響をもたらしている。穀物が洪水で流され、農業従事者は取り乱している。うだるような暑さで疫病が発生する」と訴えた。
その上で「気候に対する取り組みも、困難の規模に比べれば微々たるものだ」とし、このまま何も変わらなければ、我々は「危険で不安定な世界に向かう」ことになると警鐘を鳴らした。
世界で大規模な洪水や山火事が猛威を振るう中、今回の会議は地球温暖化につながる汚染の削減に向けた世界的な気運を高めることを念頭に開催された。今年12月には国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がドバイで開かれる。
20日の会議に当たり、グテーレス氏は異例の決定を下し、登壇者を自身が明確かつ効果的な気候計画を有すると見なす国々の高位の代表者に限定した。
この結果、会議で発言できたのは国連総会に出席した200近い国々のうち、34カ国と非政府組織7団体のみだった。
中国、インド、米国といった地球温暖化につながる温室効果ガスの排出量で上位を占める国々の代表者は、登壇者のリストから外れた。米国のケリー大統領特使(気候変動問題担当)は会議には出席した。
英国のスナク首相も発言しなかった。同首相は自国で気候問題に関する取り組みを減速する計画を掲げ、批判を浴びている。
グテーレス氏は自身の演説で、先進国がネットゼロ(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)を2040年までに達成することを求めた。これは現行の取り組みを少なくとも10年前倒しすることを意味する。
「我々は数十年遅れている」「対策を停滞させ、無理を続けることで失ってきた時間を取り戻さなくてはならない。我々には欲望をむき出しにして化石燃料で大金を荒稼ぎする体質が染みついている」(グテーレス氏)