マリウポリ防衛のウクライナ軍兵士らに長期の禁錮刑 ロシア裁判所
(CNN) ロシアの軍事法廷は、ウクライナ軍の「アゾフ連隊」に所属する複数の被告に対し、長期の禁錮刑を言い渡した。同連隊はロシアとウクライナの戦争初期、ウクライナ南東部の要衝マリウポリの防衛を主導した。
被告らは26日、暴力的な権力奪取、テロ活動への参加の罪で有罪判決を受け、禁錮13~23年の刑を言い渡された。ロシアの検事総長のオフィスが明らかにした。
ロシアはかねてアゾフ連隊について、ナチス及び民族主義者らで構成されているとの印象付けを試みている。連隊側はそれを否定しており、米国は昨年、彼らに向けた武器の供給停止を解除した。
マリウポリはウクライナの抵抗のシンボルとなったが、これは2022年、アゾフ連隊の隊員を含むウクライナ軍兵士や住民が巨大な製鉄所の地下に数週間立てこもり、ロシア軍への降伏を拒否した出来事がきっかけだった。
被告のうち出廷して刑を言い渡されたのは12人。他の11人にも判決が下ったものの、既に捕虜交換でウクライナに返されている。また1人は、ロシアでの拘束中に死亡したと報じられている、
検察によると、裁判所は被告らが「行動を起こし、憲法に基づくロシアの秩序を暴力的に変更しようとした」と断定した。ロシア当局はウクライナへの全面侵攻後の22年、アゾフ連隊をテロ組織に認定している。
公判前勾留中に死亡した被告については、アゾフ連隊の司令官がウクライナの検視の専門家を引用し、胸部の負傷のため死亡したと明らかにした。負傷は「鈍器との接触」が原因だったとしている。
ロシアの人権団体はこの被告を政治犯とし、殴打や拷問などの人権侵害を受けていた証拠があると主張している。
ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日、同国の国家親衛隊を称賛。依然としてロシアに拘束されているウクライナ軍兵士、とりわけマリウポリの防衛戦に加わったアゾフ連隊の隊員らのことは忘れていないとし、「彼らの解放と帰国に向け、あらゆる外交レベルで取り組んでいる」と述べた。