米、黒海での武力行使停止で合意と発表　ロシアは実施に条件

（ＣＮＮ） 米ホワイトハウスは２５日、ウクライナ、ロシア両国が黒海での武力行使を停止することに同意したと明らかにした。ただし、これは原則合意で、ロシア大統領府は実施にいくつかの条件が付くとしている。

米国の当局者はここ数日、サウジアラビアでロシア、ウクライナそれぞれの代表団と個別会談を行っていた。ホワイトハウスは２５日、両国との合意の概要を発表。別々の声明を二つ公表したが、内容は非常に似通っている。

声明はいずれも、米国はそれぞれの国と「黒海での航行の安全の確保、武力行使の排除、軍事目的での商業船舶の使用禁止で合意した」とする内容。

ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キーウで開いた記者会見で、黒海での軍事力行使を停止することに同意したと説明。ただ、ロシア大統領府の声明では、ロシアの銀行や食料・肥料輸出に対する制限が解除された場合のみ、合意を履行するとしている。

攻撃されたウクライナの穀物貨物船＝２０２４年９月１９日、黒海/Daniel Mihailescu/AFP/Getty Images

一連の制裁は、ロシアが２０２２年２月に一方的なウクライナ侵攻に踏み切ったことを受けて科された。

トランプ米大統領は２５日午後、ホワイトハウスで記者団に対し、米政権はロシアの条件を検討中だと述べ、「五つか六つ条件がある。我々はすべての条件を検討しているところだ」と説明した。

ゼレンスキー氏は夜の演説で、ロシアは新たな条件を追加することで仲介国を欺こうとしていると非難。「彼らは早くも合意をねじ曲げようとしている。実際に仲介国や全世界をだまそうと試みているのだ」と述べた。

ロシア大統領府のペスコフ報道官はＣＮＮの取材に、ロシアは公平な合意を望んでいると説明。「思い出してほしい。前回我々が黒海合意の実施を試みた時、我々はすべての義務を果たしたが、我々に対する義務は忘れ去られ、履行されなかった。従って、今回はバランスの取れた合意にすることが重要だ」としている。