WHO報告書、米政権が不満表明 共同声明で批判も
ワシントン(CNN) 新型コロナウイルスの起源に関する世界保健機関(WHO)の報告書に対し、米ホワイトハウスは30日、透明性に欠けるとの不満を表明した。これに先立ち、米国など12カ国が共同声明で、調査の遅れや情報不足を批判した。
ホワイトハウスのサキ大統領報道官は30日の記者会見で、米国民と国際社会、医療従事者らに見合うのは「より高い透明性」だと主張。米国民はもっと良い情報の提供と、それを可能にする国際社会の対応を求めてしかるべきだと述べた。
WHOの調査団を受け入れた中国側に透明性が欠けるとも指摘し、同国政府に対してさらなる調査への協力を求めた。
WHOが30日に発表した報告書はウイルスの起源について、中間宿主の動物を介して人間に感染したとみられ、研究所から流出したというシナリオは「極めて可能性が低い」との見解を示した。
サキ氏はこれに対し、「私たちが6~9カ月前に得ていた理解や知識から一歩も進んでいない。将来の再発を防ぐための指針や対応策も示していない」と批判した。
共同声明には米国と英国、オーストラリア、カナダ、日本、韓国、イスラエル、ノルウェーなどが参加。報告書の重要性を認めたうえで、タイミングの遅れとデータやサンプルへのアクセス不足を批判し、「共通の懸念」を示した。
欧州連合(EU)も独自の声明で、中国への調査団派遣が遅れ、初期のサンプルや関連データが十分に入手できなかったことなどに「遺憾」を表明。ただし、これまでの作業と報告書の発表は「有益な第一歩」だと評価した。