上司と「友達」に? 職場のあるべき距離感とは
(CNN) 上司と部下という関係の境界線はかつては明確なものだった。上司は離れた場所いて命令を下す恐怖の存在だった。一方、部下は言われたことを実行する立場にいた。
しかし、職場の文化は変化し、行動規則も変容した。仕事と私生活の区別は曖昧(あいまい)になり、上級幹部の多くが部下と、より親密で正直な関係を求めるようになった。スタッフとの理想的な関係を「家族的」と表現する経営幹部もいる。家族というものは、相手を思いやり、相手に要求し、所有物や思い出などを共有するものであり、そうしたことを通じて、不安なく働くことができるようになれば、生産性も向上するというわけだ。
自分の上司を家族だと混同する人はめったにいないだろう。しかし、上司が友人だと勘違いしないようにもしなけれならない。
上司との関係が問題になるとき、被雇用者は常に不平等な立場に立たされる。あらゆる過ちがキャリアを破滅させる結果を招きかねない。そう考えると、職場における「地雷原」を突破してまで上司と個人的に仲の良い関係性を築こうとするのは、はたして良い考えなのだろうか。
英ケンブリッジ大学ジャッジ経営大学院のヨヘン・メンゲス博士によれば、上司と仲の良い関係を築くかどうかを決定するのに考慮すべき重要な要素のひとつは、上司を尊敬できるかどうかだという。
メンゲス博士は「上司が模範的な人物なら、仲良くなることは常に自分の利益にもつながる」と指摘。さらにそれは会社にとっても好影響を与えるという。部下が有益な指導を受け、関係が深まれば、会社の問題についても安心して、正直にあるいは批判的に話し合うことができるだろう。