中国で流行の「職場小説」 会社のルールは本から学べ
「杜拉拉昇職記」はこのジャンルで最も有名な作品の一つだろう。秘書の立場から国際的大企業の人事部長にまで出世する過程を描き、映画やテレビドラマにもなった。
上海の大学で管理職員の仕事をしているダンシー・リャンさん(32)によれば、こうした小説を通じて、どのような服装がいいのか、複雑な人間関係にどう対処すればいいのか知ることが出来るという。
リャンさんは「たとえば、自分のことを気に入っている上司から、一緒に出張に行ってほしいと頼まれるが、どうやって断っていいかわからない。そんなときに小説が役に立つ。私たちがこうした小説を読むのは、そのなかに自分たちの姿を見出すからだ」と語った。
デイジー・ウォンというペンネームを持つ28歳の女性は、香港の有力法律事務所で働く法律家としての公私にわたる生活について多くのコラムを執筆している。ウォンさんは「キャリアの話題はいつも人気だ。人生は目まぐるしく、人間関係の移り変わりも激しい。都会では、孤独を感じる人が多く、こういったジャンルは人々の心に響く」と語る。
一方、懐疑的な見方を示す人もいる。香港科技大学のリュウ・ジャンメイ准教授(現代中国文学)は「こういった小説が人々を功利主義や唯物主義に走らせる。肯定的な文化的価値の再構築といった、より重要な物事について目を向ける機会を失わせる。職場小説は個人の能力や忍耐、不快な人間関係に対する耐性といったものを強調しているようだ。しかし、成功を追い求めた先には、いったい何が残るのだろうか」と問いかける。