中国で流行の「職場小説」 会社のルールは本から学べ
(CNN) 武道小説を書いていた作家のルー・チーさんは2009年、それまでとは少し異なる戦いを描いた小説を発表した。中国の企業内における駆け引きだ。
「職場の秘密」と題されたその本には出世するための23のルールが載っている。例えば、「ルール8:階級のすぐ上の人が最も危険。同じ階級の人は敵」「ルール11:上司に忠誠を誓う必要はない。上司を使うのだ」「ルール12:自分が最も賢いと思っている人は最もおろかな人」「ルール18:上司に『心配するな』と言われたら心配すべし」といった具合だ。
それぞれのルールには、多国籍企業のホワイトカラーの人生を取り巻く物語が添えられ、ルールがどのような意味を持ち、現実にどう生かすのかが描かれる。この本は100万部以上売れた。
成功者はルーさんだけではない。生き馬の目を抜く競争が繰り広げられている中国の職場には、曖昧模糊(あいまいもこ)とした駆け引きと複雑な人間関係、愛や憎しみといった感情が渦巻いており、仕事場でいかに生き抜くかを学べる小説のジャンルが誕生した。
このジャンルは「職場小説」と呼ばれ、秘書や販売員、起業家、経営幹部、時には政府職員まで登場するメロドラマを通じて、出世するためにはどうすればいいのか、実際的なアドバイスを提供してくれる。著者の多くは会社員で、ペンネームを使い、仕事中に体験した職場の出来事や醜聞、恋愛模様をつづっている。
ルーさんは「中国では中間層が拡大している。多くの人々は上昇志向を持っており、より良い暮らしを送りたいと思っている。そういった人たちには野心があり、成功したいと願っている。得られるところから知識を得たいと思っており、本がその一つだ」と説明する。