英国の賃金、07~11年に4.5%減 先進国で最大の減少
ロンドン(CNNMoney) 英国労働組合会議は6日、同国労働者の実質賃金が世界的な金融危機が始まった2007年から11年までの間、4.5%低下したとの調査報告書を発表した。先進国では最大の減少幅としている。
英国の失業率は現在、7.8%と米国と同水準。過去最悪となったユーロ圏諸国の11.9%と比べれば、まだ低水準にある。
同会議によると、先進10カ国で英国に次ぐ実質賃金の目減りを被ったのはイタリアの2.7%。日本は0.7%減だった。
米国とドイツでは賃金水準の停滞に直面しているが、エネルギー資源が豊富なオーストラリアでは約7%増えた。
英国労働組合会議は、54労組を傘下に置き、600万人を超える組合員を持つ。
英経済は現在、景気停滞下にあり政府は公務員合理化や増税、社会福祉予算の削減、賃金上限額の設定などの緊縮策を打ち出している。各企業は今後の経済への懸念を強め、昇給幅をインフレ率を下回る水準に据えている。
英経済は景気後退の「3番底」に陥る瀬戸際にもあり、昨年10~12月期の第4四半期は0.3%のマイナス成長を記録した。ただ、経済の主要分野であるサービス業は先月活動が上向いており、今年1~3月の第1四半期は経済成長率の上昇が期待されている。
米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは先月、英経済の低迷は今後も続くとして同国国債の格付けを、最上級の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げた。英商工会議所は今年の経済成長率の予測を0.6%と下方修正している。