マルタ、市民権を9300万円で販売へ? EU内移動で物議
(CNN) 南欧マルタの政府がこのほど、料金65万ユーロ(約9300万円)を支払った外国人に市民権を与えるという制度を打ち出し、欧州連合(EU)内などで物議を醸している。
欧州議会は来年1月15日の審議でこの制度を取り上げる。マルタ政府は国内外からの抗議を受けて施行を延期し、条件を見直す構えを示している。
新制度は最近、マルタ議会で承認された。審査を通過して料金を支払えば同国のパスポートを交付され、欧州の多くの国が加盟するシェンゲン協定の圏内を出入国審査なしで自由に移動できるようになる。
マスカット首相によれば、この制度を施行することによってマルタには年間3000万ユーロ(約43億円)の歳入増が見込まれるうえ、潜在的な投資家を呼び込むことができる。
他国では一定期間住んでいる外国人にパスポートを交付する例もあるが、マルタの新制度は同国の居住者でなくても申請できる。財力さえあればマルタ国民、つまりEU市民となり、欧州のほかの国にも住める。これに対して欧州議会からは、「EU市民権とシェンゲン協定の乱用」を懸念する声が上がっている。