中国の対豪州投資が昨年激減、関係悪化を背景に
シドニー(CNN Business) 中国によるオーストラリアへの投資が昨年、10億豪州ドル(約840億円)をわずかに超える水準にとどまり、2019年比で62%の激減を示したことが4日までにわかった。
中国による豪州への投資動向を調べているオーストラリア国立大学の統計で判明した。昨年の数字は最高額となっていた16年の165億同ドルからは約94%の落ち込みともなった。
中国は18年、豪州の最大の貿易相手国に浮上。公式統計によると、両国間の貿易総額は同年2150億同ドル相当となっていた。
ただ、豪州は近年、国内のインフラ基盤開発事業で外国企業の支配権を拒むなど外資規制を強化し、このあおりで16年以降、豪州への中国の投資は急激に低下したとみられている。昨年8月には豪州政府が中国の乳業企業による豪州の乳業企業の買収を阻止してもいた。
国立大学の今回の報告は、新型コロナウイルスの世界的な大流行の影響も浮き彫りにした。予防策としての封鎖措置の発動や行動制限が投資意欲を冷え込ませたともみられる。
しかし、同大は中国からの投資額の下落幅が突出しているとも指摘した。
豪中の外交関係は昨年4月、モリソン豪首相が新型コロナの起源を追跡する国際調査を求めたことから急速に悪化。中国は報復措置とも受けとめられる貿易上の対抗手段を相次いで打ち出し、豪州産の木材、牛肉、一部種の石炭やワインの輸入を締め出した。