米で人気急上昇、話題の日本産フルーツ「スモウ・シトラス」とは?
ニューヨーク(CNN Business) ジェリー・キャラハン氏が初めて「スモウ・シトラス」を試食したのは9年ほど前のこと。「これはすごいことになる」と直感した。
スーパーマーケットチェーンのアルバートソンズで農産品・生花担当副社長を務めるキャラハン氏は、青果のトレンドを見極める立場にあり、さまざまな果物を食べたことがあった。しかしスモウ・シトラスは独特だったと同氏は言う。
一見、何の変哲もないように見えるこの果実。頭の出っ張りが力士のまげのように見えることから、スモウ・シトラスの名が付いた。
ネーブルオレンジやブンタンの交配種で、特別に甘いマンダリンのような味がする。出っ張りのおかげで簡単に皮をむくことができ、指がひどくベトベトになることもない。
キャラハン氏が初めて試食した直後から、人気は徐々に高まっていたが、流通量はそれほど多くなかった。米国ではACブランドが2011年から販売を始めて徐々に生産量が増加。販売する店が増えるほど販売量も増え、キャラハン氏の予想が的中し始めた。
木になっているスモウ・シトラス/Courtesy Sumo Citrus
ACブランズは過去2年にわたり、スモウ・シトラスを消費者に売り込むための大規模な宣伝キャンペーンを展開。インスタグラムで影響力の大きいインフルエンサーの間で話題にしてもらい、大々的な雑誌広告や屋外広告に投資した。小売価格は1ポンド(約450グラム)当たり4ドル(約440円)。調査会社ニールセンによると、過去1年間の消費額は6200万ドル。それでも21億ドル規模の柑橘(かんきつ)類市場に占めるシェアは極めて小さい。
ACブランズはスモウ・シトラスの伝統や、一つひとつの実に手をかける丁寧な栽培方法の宣伝にも力を入れる。シーズンが短いという難点も逆手に取って、1月~4月にかけてのシーズン前と、秋の短いシーズン前には話題性を高め、このチャンスを逃してはならないと消費者に思わせる。
ニールセンによると、2018年3月以来、米国での販売は毎年約35%増えている。
「店に入ると多くの場合、入り口のすぐ前に陳列されて大々的に宣伝されている」とキャラハン氏は話す。
日本で「不知火(しらぬひ)」または「デコポン」と呼ばれるスモウ・シトラスは、1970年代に誕生し、1990年代までに人気が高まって日本人に愛される果物になった。