スペースXの観光宇宙船打ち上げ 史上初、旅行客4人のみで滞在
フロリダ州ケープカナベラル(CNN Business) 民間人の観光客4人を乗せたスペースXの宇宙船が現地時間の15日夕、米フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられ、宇宙飛行士が搭乗せずに民間人だけで滞在する史上初の地球軌道周回旅行が始まった。
スペースXのロケットは米東部時間午後8時過ぎ、米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、時速1万7000マイル(約2万7000キロ)超の軌道速度に達すると、乗客4人を乗せた宇宙船「クルードラゴン」が切り離された。
(左から)クリス・セムブロスキさん、シアン・プロコトルさん、ジャレッド・アイザックマンさん、ヘイリー・アーセニューさん /SpaceX/AP
搭乗するのは料金を支払って参加した億万長者のジャレッド・アイザックマンさん(38)と、小児がんを克服した医療助手のヘイリー・アーセニューさん(29)、コミュニティーカレッジ教員のシアン・プロコトルさん(51)、抽選で選ばれたロッキード・マーティン従業員のクリス・セムブロスキさん(42)の4人。地球軌道を周回するクルードラゴンに3日間滞在し、90分ごとに地球を1周する宇宙船の船内で浮遊しながら、窓外に広がる光景を観覧する。
滞在中は船内の上部にある無重力状態に優しいトイレを全員が共有する。シャワーはなく、睡眠にはリクライニングシートの座席を使用する。
米フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センター=14日/Joe Raedle/Getty Images
クルードラゴンは18日に再び大気圏に突入し、フロリダ州沖に着水する予定。ただし天候に問題があったり、別の問題が起きたりした場合は予定が変わる可能性もある。同船には約1週間分の食料などの物資が積まれている。
トレーニングに参加した乗組員ら=7月2日/John Kraus/Inspiration4
スペースXはいずれ、旅客機に搭乗するのと同じような感覚で、気軽に宇宙旅行に出かけられるようになる未来を描く。クルードラゴンはその実現に向けた第一歩と位置付けている。