欠航、値上げ、暴れる乗客――空の旅の「新常態」を招いた要因とは
一部の業界アナリストは、そうした規定に従えば、航空会社の従業員多数がホリデー期間中に勤務できなくなったり、ワクチン義務付けに従うよりも仕事を辞めることを選んだりするだろうと予想する。
航空各社は採用を増やそうとし、従業員に対してワクチンの接種を促しながら、便を減らすことで人員問題に対応している。
乗客にとってこれは、予約できる便が減り、航空運賃が値上がりし、機内が満員になることを意味する。乗客の数はコロナ前の水準にはまだ戻っていないものの、航空各社が運航する便数や機体の数もまだ2019年の状態には戻っていない。
航空運賃はこの先数カ月は高止まりが続くか、さらに値上がりする見通しだ。
満員状態の機内や、不満を持つ乗客もいるマスク着用規定のために、機内の緊張状態は一層高まる。
客室乗務員と乗客の暴力的な衝突の報告件数は過去最高に達している。客室乗務員団体が実施した実態調査では、2021年上半期に乗客が増える中で、85%がルールに従わない乗客に対応したことがあると回答。58%は5回以上の事案を経験したと答え、17%は物理的な争いがあったと報告した。
先週はアメリカン航空の客室乗務員が顔を2回殴られて鼻を骨折した。サウスウエスト航空の客室乗務員が乗客に暴行されて前歯2本が折れ、顔にけがをした事件もあった。
米連邦航空局(FAA)によると、ルールに従わない乗客に関して公式に報告された件数は、今年に入ってこれまでに約5000件に上る。その72%がマスク着用をめぐる争いに関係していた。