シーグライダー、船と飛行機のハイブリッドが都市間交通を変える可能性
(CNN) 米ボストンに拠点を置くスタートアップ企業リージェントは、米国の東西の海岸に沿って延びる海上交通路を高速輸送路に変えようと目論んでいる。
ロサンゼルスからサンディエゴまで50分、ニューヨーク市からボストンまで2時間、しかも交通渋滞や空港でのわずらわしさもない。開発中のシーグライダーが現実になれば、こんな通勤スタイルが可能になるかもしれない。
リージェントの創業者ビリー・タルハイマー氏とマイク・クリンカー氏は、地面効果翼機(WIG)の概念を再考し、それをゼロエミッション(温室効果ガス排出ゼロ)の交通手段の主流にすることを目指しており、そのための資金としてYコンビネーター、マーク・キューバン、ピーター・ティールといった著名な投資家から950万ドル(約10億8000万円)を集めた。
地面効果翼機は、いわば船と飛行機のハイブリッドだ。「地面効果」と呼ばれる空気力学の原理を利用して、海面からわずか数メートルの高さを超高速で飛行する。港では、船のように胴体部分が水面に浮いた状態で移動する。
リージェントの全電動の機体は最高速度約290キロに達する予定/REGENT
普及を妨げている欠点
地面効果翼機は新しい概念ではなく、かつてソ連は軍事目的で「エクラノプラン」と呼ばれる巨大な機体を製造した。そして、最近でも世界のいくつかの企業が開発を進めている。しかし地面効果翼機には、普及を妨げているいくつかの欠点がある。
まず、水上飛行機と同様に波の影響を受けやすい。波の荒い日は運航できないため、定期的かつ定時性が求められる商業サービスへの利用には不向きだ。
また離水時には穏やかな海面が長い距離にわたり続いている必要がある。さらに水上では旋回しにくいため、混み合った港では操縦が困難な場合もある。
しかしリージェントは、いくつか新しい要素を取り入れることによりこの問題はすでに解決済みだと主張している。同社の創業者らは、同社の地面効果翼機を全く新しい種類の乗り物と位置付けており、彼らは「シーグライダー」と呼んでいる。