ロシア新車販売、ウクライナ侵攻後に激減 3月は前年比6割減
ロンドン(CNN Business) ウクライナでの戦争や欧米の制裁、外資企業の撤退でロシア経済が大打撃を受けるなか、ロシアの3月の自動車販売台数が3分の2近く減少したことが分かった。
欧州ビジネス協会(AEB)が6日発表したデータによると、ロシアにおける3月の新車販売台数は乗用車と軽商用車を合わせて5万5000台にとどまり、前年同月比63%減の落ち込みを示した。
欧米やアジアの全ブランドが損失を被ったが、中でも大きな打撃を受けたのはドイツのフォルクスワーゲン(VW)で、販売台数が74%減少した。VWグループ傘下シュコダとトヨタがこれに次ぐ落ち込みを記録した。
トヨタの高級車ブランド「レクサス」も大きな打撃を受け、全メーカーで最大の91%減となった。シュコダと同様にVWグループに属するポルシェは73%減だった。
ロシアではプーチン大統領が2月にウクライナ侵攻を決断したのを受け、西側の自動車メーカーが相次ぎ撤退を表明。トヨタやVWなどの企業は先月、生産やロシアへの輸出の停止を発表した。
ロシアの自動車メーカー「アフトワズ」を傘下に持つ仏ルノーも最近、モスクワにある工場の全活動を停止すると表明し、同社への出資に関して「あらゆる選択肢を検討する」との方針を示した。
ロシア自動車市場分析サイトのオートスタットによると、通貨ルーブルの下落を受け、3月の新車平均価格は35~45%上昇した。
大半のロシア人の間では今後、新車への支出は優先順位が低くなるとみられる。ロイター通信によると、ロシアの年間インフレ率は侵攻開始以降に16%近く上昇。砂糖やトマトなど必需食品の値段が高騰しており、パニック買いに見舞われたスーパーで品切れが発生しているとの情報もある。
理論上、アフトワズの保有する「ラーダ」のような国産自動車モデルが外資の競合の消滅で恩恵を受ける可能性もあるが、制裁の影響でサプライチェーン(供給網)が混乱し、深刻な部品不足に陥っているのが現状だ。