薬価4億円超 世界一高額の新薬、米FDAが承認
(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は22日、血友病治療の新薬「Hemgenix」を承認した。開発元のCSLベーリングが発表した価格は治療1回当たり350万ドル(約4億8600万円)で、世界一高額な医薬品となる。
Hemgenixは、血栓を作るのに必要なたんぱく質が作られない遺伝性疾患、血友病Bの治療に使われる成人向けの遺伝子治療薬。男性を中心として、およそ4万人に1人がこの疾患を患っている。
一般的な治療では、不足・欠落している凝固因子を補うために定期的な点滴を必要とするが、新薬を使った治療では1回の点滴で済む。
FDAは新たに承認された新薬を「血友病B患者の治療の新たな選択肢」と位置づけ、「重い負担を経験している患者のための革新的な治療法の開発における重要な進展」としている。
処方薬などの価格を調査している非営利研究機関ICERは、Hemgenixが世界一高額な医薬品になることを確認した。
ICERは最近行った費用対効果分析の中で、同薬の効果と相殺される費用を比較して、適正価格を293万ドル~296万ドルと算定していた。
米国でこれまで最も高額だった治療薬は、FDAが脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)の治療薬として2019年に承認した「ゾルゲンスマ」で、価格は治療1回当たり210万ドル。
FDAは、成人男性約60人を対象とする2回の研究で安全性と効果を検証した結果に基づき、Hemgenixを承認した。主な副作用として、肝酵素の上昇、頭痛、インフルエンザのような症状、輸液に関連した軽度の反応などが指摘されている。