世界の航空輸送量、6月にコロナ禍前の水準へ 推進力は中国
香港(CNN) 航空機リース企業「アボロン」は19日までに、世界規模での航空輸送量が今年6月、新型コロナウイルスの世界的な大流行が始まる前の水準に戻るとの新たな報告書を公表した。
今後数カ月内に航空乗客の輸送は全面的に回復すると予想し、中国を中心にしたアジア市場の正常化が誘因になるとした。
同社のクローニン最高経営責任者(CEO)は声明で、主要な推進力は中国市場になるだろうと指摘。同国は最近、新型コロナ対策の隔離政策を3年ぶりに緩和しており、世界最大規模でもある海外旅行客の送り出しが復活し、世界各地の関連産業を活発化させると見込んだ。
アボロンによると、航空乗客の輸送量は昨年、欧州や北米市場の活況が主因となって7割の水準までに復調していた。航空会社は今年、収益構造をようやく取り戻すとも想定されている。
国際航空運送協会(IATA)は昨年12月、航空会社は今年、世界的な景気後退への懸念が出ているものの47億米ドル(約6016億円)の利益を計上するだろうとの予測を発表。収益が出れば2019年以降では初めてとなる。コロナ禍では渡航規制の実施などで航空需要が大幅に落ち込んでもいた。
IATAの12月の予測によると、現段階での国際的な航空輸送量は19年11月時点の水準の約75%相当に達した。この中ではアジア太平洋地域での好調ぶりが傑出しており、21年11月と比べ約374%の急増となった。地域別の前年比の増加では最大の伸び幅だった。
ただ、23年通年の世界規模での航空乗客の需要についてはアボロンと比べ低めの評価をしており、19年の水準の85.5%にとどまると占った。
アボロンは航空需要の盛り返しは、航空会社に運航可能な機材を確保し得るのかの課題も突きつけるだろうとも分析した。新型コロナの蔓延(まんえん)で旅客機など計2400機の生産が中断しており、引き渡しの遅延は広範に発生し、機材不足も表面化しているとした。