独銅精錬大手、290億円相当盗まれる詐欺被害 インサイダー関与か
ロンドン(CNN) ドイツの銅精錬大手アウルビスは19日、およそ1億8500万ユーロ(約290億円)相当の金属を盗まれる詐欺被害に遭ったことを明らかにした。内部関係者が関与した可能性があるとしている。
同社が8月31日に行った臨時の棚卸の結果、金属スクラップなどの資材に対し、水増しされた請求額を支払っていたことが判明。この請求の基になったサンプルが不正操作され、銅の含有量が実際よりも大幅に多いように見せかけられていたことが分かった。
同社は8月31日と6月に、多額を盗まれる被害に遭っていたことを明らかにしていた。この損失により、今年度の税引き前利益見通しは約1億7000万ユーロの引き下げを余儀なくされた。
アウルビスは6月15日、「過去の犯罪行為」が発覚したと発表し、本社があるハンブルクの検察と警察が同社の従業員と元従業員や工場関係者を捜査していることを明らかにした。一部の容疑者は逮捕されたとしている。
8月に発覚した犯行にも同じ人物が関与しているのかどうかについては、現在捜査が進められている。
アウルビスは欧州と米国の工場で年間約110万トンの銅カソード(銅板)を生産している銅生産の欧州最大手。そうした銅製品の生産量は欧州全体の約30%、世界では3~5%を占める。