「ヤクザの幹部」、ミャンマーからの核物質密売で有罪認める 米NY裁判所
(CNN) 日本の「ヤクザ」の幹部とみられる人物が8日、米ニューヨークの裁判所でミャンマーから核物質を不正に持ち出した罪で有罪を認めた。麻薬や武器、マネーロンダリング(資金洗浄)が絡む世界的な取引の一環だったとしている。米司法省が明らかにした。
米麻薬取締局(DEA)が2021年に実施した潜入捜査で、エビサワ・タケシ被告はウランと兵器級のプルトニウムを含む複数の物質の売却を試みた。売却相手と認識していたのはイランの将官で、核兵器開発プログラムのためそれらの物質を必要とする人物であると考えていたという。司法省が声明で述べた。
現在60歳のエビサワ被告は、麻薬と武器の国際的な密売に関する罪状でも有罪を認めた。
起訴状によれば21年、同被告はDEAの潜入捜査官に対し、ミャンマーの反政府組織のリーダーが自身を通じて核物質をイランの将官に売却できると語った。売却で得た資金は大量の武器の購入に使われるとしていた。このリーダーの氏名は明かされていない。イランの将官は売却先として潜入捜査官が設定した架空の人物。
1年後、米当局は国内での麻薬の流通と米国製地対空ミサイルの購入を画策した疑いで同被告を逮捕。昨年初めには上記のイラン向けとされる核物質売却の罪で起訴もしていた。
CNNはこの裁判に関して、エビサワ被告の弁護士にコメントを求めている。
21年2月から内戦状態が続くミャンマーは、ウランを含む天然資源が豊富な国として知られる。また麻薬の主要な生産国でもあり、長年にわたり国をまたいだ犯罪組織を引きつけている。
起訴状によれば、密売人を装った潜入捜査官とのやり取りの間、エビサワ被告は「岩石状の物質と放射線を測定するガイガーカウンターが写った」複数の画像並びに研究所の分析結果と主張する数ページの文書を送付した。文書は「放射性元素のトリウムとウランの存在を示唆する」内容だったという。
司法省によると、エビサワ被告は麻薬と武器の密売人を装った潜入捜査官を自身の属する国際犯罪ネットワークに紹介した。このネットワークは日本、タイ、ミャンマー、スリランカ、米国などを対象に、大規模な麻薬と武器の密売を手掛けている。
核物質の国際密売で言い渡される量刑は最大で禁錮20年だと司法省は説明。エビサワ被告については日本の組織犯罪集団の幹部だとした。