埼玉の地下に巨大トンネル、洪水被害防止に威力を発揮
東京(CNN) 台風や豪雨などの災害に頻繁に見舞われる首都圏。洪水被害を食い止めるため、首都に近い埼玉県の地下に、巨大なトンネルが存在する。CNNがその内部を取材した。
首都圏外郭放水路は、大規模な洪水から首都圏を守るため、1993~2006年に建設された。入り口は常に施錠されていて、ほとんど目立たないため、何度も前を通り過ぎているのに気付かない人もいるかもしれない。しかし内部は極めて特徴的な施設だ。
入口を入って幾つか階段を降りると、SF映画にでも登場しそうな巨大ホールにたどり着く。立坑と呼ばれる5基の巨大水槽が、全長6キロのトンネルで結ばれ、地上からの雨水を集める。立坑は深さが約70メートルもあり、スペースシャトルやニューヨークの自由の女神も収まるほどの大きさだ。
雨が降って立坑とトンネルに雨水がたまると排水機構が稼働する。排水機構の中心にあるのは4基のタービン。ボーイング737型旅客機に搭載されるようなジェットエンジンを使って、近くを流れる江戸川に雨水を放流する。
この地域はかつて、豪雨のために中川などが頻繁に氾濫(はんらん)していた。しかし今ではこの排水施設によって、貴重な土地が守られているという。
同施設の技術者によれば、この施設は豪雨に対応する設計になっており、米東海岸を襲った「サンディ」による高波のような事態に対応するのは難しそうだという。それでも地下の巨大構造物は、将来の自然災害に対処する新たな技術のヒントを与えてくれるかもしれない。