グリーンランド氷床下に巨大峡谷、グランドキャニオンしのぐ
(CNN) グリーンランドの大地を覆う厚い氷床の下に、全長740キロの「巨大峡谷」とみられる地形が存在することが分かったと、英国などの研究チームが29日に発表した。
英ブリストル大学の研究チームは、米航空宇宙局(NASA)が上空からレーダーで撮影した画像を調べていて、最大で厚さ3キロにもなる氷の層の下に、峡谷を発見したという。
峡谷はグリーンランドの中部から北部の海岸を貫いて北極海に達しており、全長は米アリゾナ州のグランドキャニオン(約450キロ)の約1.5倍。深さはグランドキャニオンよりは浅いものの、200~800メートルあるという。
峡谷は氷床ができる前から存在し、400万年以上も氷に覆われていたとみられる。当時この場所には大きな川が流れていたようだと研究者は解説する。
グリーンランドの調査は地球温暖化に関する研究の一環として行われた。氷床が厚すぎて衛星レーダーでは透過できないため、上空からレーダー画像を撮影するNASAの「アイスブリッジ作戦」で画像を撮影。その記録をまとめる過程で、「連続した長い線のようなもの」があるのに気付いたという。
峡谷の発見は、気候変動に関する研究にとってそれほど大きな意味は持たないものの、グリーンランドなど極地の環境の氷床の形成について解明する手がかりになると研究チームは説明している。
この研究はブリストル大学やカナダのカルガリー大学、イタリアのウルビーノ大学などの研究チームが29日の科学誌「サイエンス」に発表した。